幸せに成長する歯科・医療経営の種と仕掛け~戦略思考と人間心理(感情理解)の実践的融合~

2019年10月1日

歯科・医療経営の喜びの種を育てる-30

皆さん、こんにちは。ジョイカレント・河原田喜義です。

さて今回からは
「時間の感覚をコントロールする効果 ~治療に関する理解を促進させるために~」
と題して、「時間」を意識的に扱うことで、
患者さんへの治療説明をはじめとする「会話の説得性」を増し、
「健康へ向かって意識と行動を変化させる」方法に焦点をあててお話します。

以前私はある女性から、
時間に関する衝撃的なお話をお聴きしました。
その方は、物をどこに直したのかすぐに忘れてしまい、
探し物に毎日10分は費やしていたそうです。
ある日、女性は知人の男性から食事に誘われました。
「明後日の夕方18:00で大丈夫?」
その女性はこう答えました。
「ええ、大丈夫よ。その日は午前中に打ち合せをして、15:00に銀行へ記帳に行くだけだから。」  
すると男性がこう返してきました。
「そんなこといって、いつも大概遅れてくるだろ?もう少し遅い時間にしようか?」
すかさず、女性は答えます。
「そんなことないわよ。その日は十分に余裕があるから絶対大丈夫よ。」 
・・・
さて、この女性は約束の時間に間に合ったのでしょうか?

その答えと理由も、これから明らかになっていきます。
では、今日も楽しみながら共に学んでいきましょう。

【1.人が学び(理解)を得る構造と時間の関係】

人は時間の流れを頭の中でどのように捉えているか?
これを知ることで、普通に行う説明以上の効果を患者さんにもたらすことが可能になります。
そのために、人が時間の流れをどのように認識(記憶としてコード化)しているのか、
説明してみたいと思います。

■ 1. IN TIME   (ある「特定の時間(場面)」としての理解)

時間の認識の仕方:その1「IN TIME」です。
ある特定の場面を、あたかも「1枚の静止画像(写真)」のように記憶(保存)
される、非常に「感覚的な方法」です。

このような認識において、ある物事は象徴する1つの場面に凝縮され、
「プロセス(手順や流れ)」は削除されてしまいます。
過去も未来もないかのように経験が保存される時、「流れ」には言及されず、
「時間がかかる」という感覚は生じません。
その一瞬の中ではじまり、終わったかのように表されます。
  
■ 2. BETWEEN TIME(複数の「時間(場面)と時間(場面)」の集合体としての理解)

時間の認識の仕方:その2「BETWEEN TIME」です。
たとえば、先に登場した女性の場合。
「銀行に記帳に行くだけ」と話していましたが、
このイメージは自分がATMの前で記帳しているその瞬間だけを想定したものです。
まさに先ほどの「IN TIME」な状態なわけです。
しかし実際に出かけてみると、
「車のキーはどこへやったのかしら?」
「どうしてこの信号はいつもこんなに長いの!?」
「えっ!?ATMすっごく並んでる・・・」
などの予期していない場面に出会うことになります。

このひとつひとつの場面が認識して記憶(保存)されるものが、
この「BETWEEN TIME」という方法です。
 しかし、これらひとつひとつの場面は比較することができても繋がりがなく、
段階が見えないのが特徴です。ひとつひとつが個別のものとして知覚されます。
次にどのように展開するのか、そのプロセスが分からない状態であるといえます。 

■ 3. THROUGH TIME(一連の順序を持つ時間の流れ全体としての理解)

時間の認識の仕方:その3「THROUGH TIME」です。
「BETWEEN TIME」の各場面に「順序」と「プロセス」が加わり、
全体としてのつながりと段階が生まれ、「流れ」をつくります。

パソコンのプログラムのアイコンをダブルクリックした時のように、
一連の作業の流れ(プロセス)が発生し、物事を目的に向かって完結することや
全体像を把握することが可能になり、
「逆算思考」で物事を考えることができるようになります。 

では、これらの時間の構造と「学び」の関係についてお話していきましょう。

「IN TIME」の状態では、いわゆる「知識」「情報」という暗記に
近いレベルでの情報を得ているにすぎません。

「BETWEEN TIME」の状態は、あるテーマに関する「知識」「情報」
が積み重なっている状態です。

そして、「THROUGH TIME」の状態になりはじめて、それらの
知識と知識の間の「関係性」が理解でき、その連続した関連性を1つの対象として
俯瞰的に眺めることで、「新たな工夫(新しい学び)」を深めることができるように
なるといえます。「部分」から「全体」という概念へ意識が転換することに繋がるのです。

では、学びの中でどのように「THROUGH TIME」な状態を作り出すのか?
その答えは、「先読み」と「振り返り」の2つを反復して行うことにあります。
つまり、

1.現在から到達すべき最終の目的地を見て、どのようなことが起こるかを
シュミレーションする
2.最終目的地に到達したとして、そこから現在に振り返った時、
どのようなプロセスを辿ってきたかをシュミレーションする

ということです。

大切なことは、本当の学びがはじまるのが「THROUGH TIME」
の状態になってからだということ。
そして、「同じテーマに関する学び」であったとしても、「先読み」「振り返り」を
何度も繰り返し行うたびに、「新しい理解が重ねられる」ということです。
そのテーマに関する「意味が拡大する」と言ってもよいでしょう。

全ての学びには、「関係性」が伴います。
状況やコントラスト(背景)にも関わるものなのです。
たとえば、小学生の頃、とても大きく感じた鉄棒が、大人になった今見てみると
すごく小さく感じるように、同じ対象であったとしても、見る位置、見る時間など
によって違う「気づき」が得られるということを念頭に置いていただきたいと思います。

同じ対象を、違う角度で、何度も反復(「先読み」「振り返り」)して繰り返し学ぶ
同じ対象を、違う角度で、何度も反復(「先読み」「振り返り」)して繰り返し学ぶ
同じ対象を、違う角度で、何度も反復(「先読み」「振り返り」)して繰り返し学ぶ

「学び」は新たに積み重ねられ、その中に新たな可能性が広がっていきます。
それにより、人は意識や認識を変え、行動の方向性を変えることにも繋がります。
これは、時間に関連して人が学びを深める、最も基本的な構造であるといえるものです。

次回は、時間の感覚を応用したより効果的な治療の説明について、お話しします。
どうぞお楽しみに。